2015-05-30
夜空シリーズ誕生について
たまに聞かれることがあるので、綴らせてもらおうと思います
inkの審美シリーズ(空、宇宙など自然美を借景し作るアクセサリー)の一番最初にできた夜空誕生のお話しです
誰が観ても、美しい空の色は感動すると思いますが、わたしもその一人です
ですが、以前のわたしはそこまでそういったことに感動できずにいました
自分の中で足りないものを数え、よくわからない思い込みに囚われていたのです
あの理想に近づくにはあとはこれとこれが足り無いなとか、こんな風になれたらいいのにと思い、今がよく見えてなかったのだと思います
そんな時、大きな出来事があり、今まで信じてた事やものが無に近い状態になりました
何年か生きてきて培った自分なりの足場は一気に崩れ、どうしていいのかわからなくなりました
日々を過ごすことさえも苦痛で、地元にしばらく帰ることに
見兼ねた家族は、ただただ何も言わずに付き添い、見守ってくれました
少し時間が経ち、心も落ち着いてきたある日の夜、地元の山奥にあるお温泉施設に連れ出してくれました
滅多に車も通らない山奥にある温泉は施設の周りに川が流れており、とても静か
冬場の山奥ということもあってか、お客さんはわたしと家族だけでした
露天風呂に出ると、足元がやっと見えるくらいの間接照明があるだけで、ほぼ真っ暗
音楽もなく、山の木がそよぐ風の音と、温泉の水の音だけです
最初は暗闇に慣れず怖かったですが、しばらく経つと目が慣れてきて、目の前の風景がはっきり観えてきました
そこには落ちてきそうなくらいに近く、ただっ広い一面の夜空が
なにもかもを包み込んでくれそうな群青色と紫に銀色の星が美しく瞬いていました
わたしは、ただただ圧倒的な美しさを感じ、感動して涙を流していました
心は一瞬にして奪われ、言葉でどうにか美しさを語りたかったのですが、どの言葉も不相応で、空虚に思えました
大袈裟かもしれませんが、わたしは、本当に大したことのないただの人間なんだと気づかせてもらい、また、せめてこの空をこのまま切り取りたいと感じたのです
その当時、本当にしんどい思いをしましたが、結果的に自分の思い込みからの出来事だったんですね
崩れて失ったと思ってる自分の事を、心配してくれる人がいて、こんなにも美しい自然があって、あまりにも多くのものを持っている事に気づけてなかっただけなのだと
その当時、日常は当たり前で感謝することなどありませんでしたが、それこそ大切であることを気づかせてもらいました
毎日当たり前にある空も、こんなにも綺麗なんだと感じるようになりました
そこからはずっと、あの気持ちが忘れられなく、あの夜空をあの感動をそのまま切り取るにはということを考え、いろいろと試行錯誤して出来たのが、最初の審美シリーズとなる夜空です
ですので、よくそういうイメージなんですね
と言われるのですが、イメージでなく、そのままを使わせてもらってます
その時、その場所に存在した一部
自然のそのままが一番美しいのです
夜空には、詩の内容をみてもらえばわかるのですが(https://inkbottle11.com/gemme/夜空)、ただ、日常を愛でるという意味を込めてます
以前のわたしがいなければ、こういうことには気付けなかったわけですし、当時の自分に会ったら、大丈夫とありがとうを言いたいです
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